2026/08/25 15:06

(この記事は2026年1月にnoteで公開されたものです)
今や個人の活動やビジネスにおいても欠かせないツールとなったSNS。その功罪とこれからのSNSとの付き合い方をひとりのアーティストが実体験を元に語る。
自分の生き様を映し出す「作品」としてのSNS発信
ー最近、SNSが好調ですね。
HANA: ありがとうございます。2年前にInstagramの発信に力を入れ始めてからありがたいことにフォロワーさんが増えてきて(※取材日2026年1月26日時点のフォロワー数は1445人)、より多くの方と作品や旅の記録を共有できるようになりました。

今メインで使っているアカウントは2023年の夏ごろにアート専用アカウントとして新しく作ったものです。開設当初は顔も名前も出しておらず、リアルの友達に絵を描き始めたこと自体伝えていなかったので、フォロワー数もインプレッション数も伸び悩んでいました。

▲アカウント開設当初はStayOdd ARTの名前で発信していた
ターニングポイントは、専業アーティストとしてやっていくこと、そしてアート修行のためのアフリカ渡航を決めた2024年の春ごろです。このタイミングで顔と名前を公開し始め、同時にアフリカコミュニティ・旅人コミュニティのみなさんと繋がることができたので一気に友達の輪が広がりました。
その頃は1日1本ストーリーズを更新していたのですが、アフリカ渡航直前にお仕事でお世話になった方に「1日3本はストーリーズを更新してもいいと思う」とアドバイスをいただきました。それから1年半の間、体調が悪いときや本当に忙しいときをのぞいてほぼ毎日ストーリーを更新しています。
そのおかげで、面識がない方や普段あまり会えない方から「いつもインスタ見てるよ!」と言っていただけることが増えました。アドバイスをくださった方といつも発信を見守ってくださっているみなさんには、心から感謝しています。
ーSNSと付き合う上でのマイルールはありますか?
HANA: Instagramでの発信において、自分との約束は二つ。
一つは先ほど触れた「毎日3本ストーリーを上げること」で、もう一つは「過度にネガティブな発信はしないこと」です。素を出すことも大切ですが、私はものすごく感情に振り回されるタイプなので、メンタルの波でどん底まで落ち込むことがあったり、逆に忙しくしすぎてイライラすることも多いです。
そういう時に感情に任せてそのとき思ったことを投稿すると後で絶対後悔して消すことになるし、何よりそれを目にしてしまった人にネガティブな感情を伝染させてしまうので、そういう状態の時に感じたことをありのまま発信することは避けています。
「自分の生き様をそのまま映し出すもの」という意味で、ひとつひとつのストーリーズもある意味で作品のようなものだと思っています。ストーリーズアーカイブの一覧を振り返ったときにアーティストとして自分が納得できるコンテンツであることは絶対条件なので、後から見返して消したくなるようなコンテンツは最初から発信しないと決めています。

自分色の彩度を上げることが当たり前に。SNSと現実のギャップに苦しんだ日々
ー発信活動が軌道に乗ってきた今、新しい悩みも出てきたそうですね。
HANA: 実際の自分とSNSで見えている自分が乖離していく感覚があります。というのも、最近急に周りから「行動力があって、すごく元気ですよね」と言われることが増えたんです。
というのも、私の場合Instagramを名刺やポートフォリオ、ブログの代わりとしても使っているので、作品とあわせて旅の様子や制作風景などの日常を発信しています。私の絵画作品は色づかいやモチーフが強烈なので、作者の顔や人柄が見えた方がお客様に安心していただけると考えたんです。

▲現在のプロフィール写真。「表情が自然かつ、アフリカと自然と赤色が好きなことが端的に伝わる」という理由で選んだ
先ほど触れたネガティブな発信を避けるというルールもそうですが、「この人は信頼できる人間だ」と感じていただくためのブランディング戦略とも言えますね。その戦略が功を奏しているのか、「HANAさんっていつもアクティブで明るいですよね!」と言われることが増えました。
それ自体はありがたいことなのですが、自分がHANAというキャラクターを立たせるために日常を加工しすぎてしまった気もしていて。発信を継続しているおかげで動画や画像を作る技術はどんどん上がっているのですが、それと同時に「自分色」の彩度を過度に上げてしまって、結果的に現実の自分とギャップが大きくなってしまった。
ー「現実の自分」はどんな性格なんですか?
HANA: 私は元々、というか今もめちゃくちゃ内向的かつ根暗な人間です。あまり信じてもらえないんですけど、常に悲観的だし、心配性だし、インドアかつ一人で過ごすのが好きなくせに寂しがり。いわゆる自己肯定感が低くて、キラキラして見える他人と比べては「どうせ自分は…」と落ち込むタイプです。会社員時代は周りと比較しすぎて心を病み、休職と離職も経験しました。
最初はアートを通じて自分と同じ境遇の人とつながりたい、いつかその人たちの力になれたらと思って絵を描き始めたのに、いつの間にか自分が「キラキラ」を発信する側になっていることに気づいたんです。「自分は本当に正しい方向に進んでいるんだろうか?」と悩むことも増えました。

大切にしたいのはリアルの場。等身大で世界と関われる自分でありたい
ー今後はどんな形でSNSと付き合っていきますか?
HANA: 色々な考えがあると思いますが、私自身にとってネットは公共の場で、「ありのままの自分」をさらけ出す場所ではないと考えています。私にとって自己表現の第一手段は絵画や文筆、映像といった芸術であり、SNSの発信はあくまでも副次的なものです。
とはいえ、こっそり自分の素に近い部分を発信したいときもあります。そんなときに活用しているのがnoteです。文章は心の内がまっすぐ伝わる一方で比較的手軽に編集ができるので、思考や感情のより深い部分をわかりやすく伝えたいときに重宝しています。
最近とあるInstagramのフォロワーさんが私のnoteをじっくり読んでくださっていることを知って、驚くと同時にとても嬉しく感じました。他人の個人的な文章を読むのってすごく体力を使う行為だと思うので、ありがたいですね。
もうひとつは映像。2026年はより身近でリアリティのある発信をしていきたいと考えているので、長尺の動画やライブ配信にも挑戦したいです。
でもやっぱり一番良いのはリアルでお会いしてお話しすることだと思っています。今年もあちこち旅をしながらイベントやワークショップをやらせていただく予定なので、普段ネットでしかつながっていない方とも地球のどこかでお会いできたら嬉しいです。
色々なメディアをうまく組み合わせて活用しつつ、リアルの場では等身大のまっすぐな自分で世界と関われる存在でありたいというのが今の願いです。
ヒトリンタビューとは、文字通りひとりで行うインタビューである。自己問答の「問」と「答」の役割を分けて可視化することで、思考も整理しながら読者側も読み進めやすい形でアウトプットできるというまさに一石二鳥のコンテンツスタイルと言えよう。

